心理小話
「ダブルバインド」

日常に潜む心理誘導

 

ふたつのダブルバインド

否定的ダブルバインド

ダブルバインドというのは日本語にすると「二重拘束」などという意味になります。

ダブルバインドの本来的な意味合いはメッセージとその裏に隠されたメタメッセ―ジが矛盾している状態を指していて、受け手側を混乱させてしまうコミュニケーションのことです。
たとえば仕事などで「自分で考えてやってみてね！」と言われた後に頑張って取り組んだところ、あまりいい結果にならず「なんで相談しなかったの？」と言われてしまったり、言ってしまったことはないでしょうか？

この例では「自分で考えてやってみてね！」という表面上のメッセージに「分からないことがあったら相談して進めるんだよ」という隠れたメタメッセージを乗せています。
これでは言われた方は混乱してしまいますよね。

このようにダブルバインドは相手に混乱を引き起こし、ストレスを与えるコミュニケーション方法であり、危険なやり方であると言えるでしょう。

ダブルバインドの概念を発表したグレゴリー・ベイトソン氏は以下の指摘をしているようです。

家族内のコミュニケーションがダブルバインド・パターンであると、その状況におかれた人が統合失調症に似た症状を示すようになる

ダブルバインド – Wikipedia

肯定的ダブルバインド

ナラとロジィのやり取りで使われているのはエリクソニアン・ダブルバインドと呼ばれる形態です。
これは催眠療法士のミルトン・H・エリクソン氏が催眠療法に応用した手法で、いくつか選択肢を提示してどれを選んでもOKというやり方になります。

これは今ではマーケティングにも応用されている手法で、選択肢の中に本当に選択させたい前提をメタメッセージとして潜り込ませているのです。
ナラとロジィのやりとりを振り返ってみましょう。

おわりに

今回の反省

肯定的なダブルバインドは自分の通したい意見を前提に置いてしまう強力な手法ではありますが、選択肢を誤ったり、相手が「選ばされている」とストレスを感じると逆効果になるかもしれません。
また、そもそもエリクソニアン・ダブルバインドの手法を知っている人であれば「心理誘導されてる！」と警戒する可能性もあるでしょう。
私もこのテクニックを使われると思わずニヤっとしてしまいます。

否定的なダブルバインドは相手に大きなストレスや混乱をもたらす可能性がある危険な手法です。
こちらに関しては自分が普段使っていないか見直したり、自衛のために活用するのが良いでしょう。

いずれにしても悪用は厳禁ですね。