心理小話
「カリギュラ効果」
禁忌に魅かれる私たち
痛ッ!?
チクリ。こんにちわ、僕はカクトイタクナルハチだよ!君が警告を無視して巣に近づいてきたからチクリと刺してしまったよ!ごめんね!あとね、僕が刺したところは絶対に掻いちゃだめだよ?絶対だよ?
えー……、何それもー
なんか凄い勢いで捲くし立てていったな。ところで、刺されたところを見せてみろ
うん。あー、なんか少し腫れてるけどそこまで痛くないかも
絶対掻いちゃいけないらしいが、そう言われると気になるよな。ちょっと掻いてみていい?
え、やだよ?!
因みに掻くとどうなるんだ?
さぁ?でも命に別状はないよ!じゃあ僕は帰るから、バイバイブーン!
えー……
ふむ、大丈夫らしいから掻いてみようずぇ。超気になる
だから嫌だって!
ダメと言われるほど気になってしまう
人間には心理的リアクタンスが備わっています。心理的リアクタンスは「あれダメ!これダメ!」に対する無意識の抵抗で、つまり基本的に人間は行動を制限されるのが嫌いということですね。
なので「見ちゃダメ」「来ちゃダメ」「やっちゃだめ」というのが「見たい」「行きたい」「やってみたい」という思いを助長することになりかねないのです。
また、ざっくり解説!ヒプノセラピーとはでも少しだけ触れましたが、無意識には自分の中のイメージを実現する能力が備わっています。これは自己完結的予言などと呼びます。
そして、無意識は否定を理解しません。
何が言いたいかというと、たとえば……
真っ赤なイチゴを想像しないでください
どうでしょう。赤いイチゴを思い浮かべなかったでしょうか?
そうです、無意識は否定を理解しません。というよりも、これは私見ですが、恐らく単語単語に対して反応してしまうのではないでしょうか。
こういった無意識の作用と自己完結的な予言、それから心理的リアクタンスを考えると、○○してはいけないという指示の危うさが感じられるのではないでしょうか。特に、お子様がいらっしゃる方は覚えておいて損はないと思います。
おわりに
今回の反省
よく、○○な人は絶対に○○しないでください!みたいな広告とか見かけるが、そういうことかな?
そうですね。カリギュラ効果を使った手法だと思いますよ
ロジィなんかは特に反発しそうだよね
うむ。しかし、これを逆手に取られてコントロールされるのは癪だな。相手の言動の意図をちゃんと考えながら自分の行動を決めるとしよう
もし、あなたが誰かに何かをお願いしたいときは、人間には心理的リアクタンスがあるんだということを思い出すと良いかもしれません。
「○○してはいけませんよ」というのは逆効果になる場合がある、ということを理解していれば、他の言い方を考えることができると思います。
例えば、次の言い方はどちらの方が抵抗が少ないですか?
- ゲームばかりしてないで、宿題を早くやりなさい
- 宿題を終わらせたらゲームをしてもいいですよ
恐らく2の方が良いのではないでしょうか。少し言い方を工夫すると、同じ意図の言葉でも伝わり方が大きく変わります。
普段から「○○してはいけませんよ」などの否定的な言い回しを使っている方は、これを機に指示の出し方を工夫してみると、自分にも周りにも良い効果があるかもしれません。一考の価値ありだと思います。
参考にさせていただいた文献など
- https://drm.ricoh.jp/lab/psychology/p00003.html
- 河出書房新社 夢文庫 「誰にでも覚えがあるへんな感覚の正体」 博学こだわり倶楽部[編]