ザックリ解説!
催眠とは
はじめに
皆さんは催眠という言葉自体を聞いたことはあると思います。では、催眠についてどのようなイメージを持っているでしょうか?
ここでは、催眠に関する事柄を、ヒプノセラピーの視点から説明します。
催眠は無意識と繋がるための方法の一つです
一般に催眠や催眠術と言うと、あたかも他人の意識を奪い、思うがままにコントロールしたり、あるいは意志に反したことをさせたりなどと、突拍子もない危険な技術であるかのようなイメージがあるかもしれません。
こういったことをフィクションだと理解していても、どこか怪しさがあると疑っている方も少なくないのではないと思います。
では、催眠とは実際にはどのようなものなのでしょうか?
催眠とは心身をリラックスさせ、無意識と繋がりやすくなるする方法の一つです。
そして、ヒプノセラピーとは、あなたにとって望ましい暗示を作ったり、普段は思い出せない記憶にアクセスするために催眠という技術を使うのです。
催眠は掛かるのではなく受け入れるものです
じぃー……
えーっと……、何か用かな?
いやなに、最近知り合いのムササビがね、ヒプノなんとかというのがカクカクシカジカと話すのでね。訊いてみれば催眠術を使う怪しげな人間がいるっていうじゃないか
あー、ナラ君かな?それはきっと私のことだと思うけど……
これでも私は友人思いでね。そのような怪しげな輩は一度この目で見極めておきたいと思うのだよ
なるほど、確かにそれは大切だね。しかし、怪しいと言われると、私も困ってしまうので、催眠について少し説明させていただいても?
是非ともそうしてくれたまえ
催眠に強制力はない
あなたはだんだん眠くなーるー……。
催眠術師がそう言うと、あなたは本当に眠くなり、催眠状態になってしまう?
いいえ、そんなことはありません。
まず初めにお断りしてくのは、原則として催眠を受け入れる気のない方は催眠状態へ誘導できないということです。
もし、「私は絶対に催眠に掛からないから試しにやってくれ!」という方がいたなら、確かにその方を催眠状態へと誘導することは難しいでしょう。
なるほど、世の創作物とはだいぶ印象が違うな
確かに、なんか強制的にコントロールするイメージがありますよね
ヒプノセラピーはセッション
私はヒプノセラピーを行うことをセッションと呼びます。
セッションという言葉のイメージとしては演奏者が集まって一緒に演奏するようなものです。ヒプノセラピーもセラピストとクライアントが互いに協力し合い目的を達成するものです。
つまり、催眠状態に入る気のない方とセッションを行うのは、叩く気のないドラマーや歌う気のないボーカルを連れて演奏しようとするようなものです。上手くと思いますか?
もはやソロライブの方がマシなレベル。あ、生演奏を諦めればいいんじゃね?
パフォーマンス重視のグループもありますし、音楽グループの売り方としては否定しないです
催眠状態とは自然な状態です
なるほど。では私は催眠術には掛からないということだな?
もしそう思っているのならそうなりますね
まぁ当然だな。誰もこの私を操ることなどできるわけないのだよ!
……もうちょっと説明してもいいかな?その、催眠で人を思い通りにできるっていうのはよくある勘違いの一つなんだ
何!?そうなのか!?
催眠に関するおかしな誤解
催眠はそのパフォーマンスの性質から、非常に誤った印象を受けやすいものです。
例えば、以下のようなイメージは日本における催眠の一般的なイメージといっても然程間違いではないのではないでしょうか。
- 催眠状態になると意のままに操られてしまう
- 催眠状態は催眠術師が合図しないと解けない
- 催眠状態は意識がなく、その間に起こっていることはすべて忘れてしまう
もしこういった考えをあなたがお持ちなのでしたら、まず初めに冷静に考えていただきたいのです。
そのような危険な技術が秘匿もされず、一般に知ることができる状態は少しおかしくはないですか?
また、催眠状態は自分で入っていくものです。ヒプノセラピストなどの催眠家は、あくまであなたを催眠状態へ導くガイドであり、あなたが必要とすればいつでも催眠状態から覚醒することができます。
マジか、でもまぁそうか。納得はできるな。しかし……、うーん……
催眠に関するおかしな期待
また、退行催眠や前世療法をご存じの方は、次のような期待を持っているかもしれません。
- 催眠状態は特殊な状態で、現実のようにリアルな幻覚を体験できる
- 催眠状態はスピリチュアル的な覚醒体験みたいなもの
残念ながら、これらは正しい認識とは言えません。
確かに、深い催眠状態は普段の覚醒状態とは異なり不思議な感覚だと仰る方もいます。
しかし、上述のような超常的な状態ではありません。
実は私も昔、少し期待してました
それは残念だったな
催眠状態は自然な状態
催眠状態とはリラックスの先にある状態です。心身共に完全にリラックスし、無意識と繋がりやすくなっている状態が催眠状態なのです。
そもそも、私たちは普段から催眠状態に入ったり、催眠状態から出たりを繰り返しています。
例えばテレビを見ている最中などは軽度の催眠状態です。
テレビドラマは当然作り物ですが、見ている間はリアルなものとして受け止めていますよね?
ドラマを見ている間、どこで撮影したんだろうとか、ここのセリフ長くて覚えるの大変だっただろうなぁとか、このシーン何回リテイクしたのかなぁ、などとテレビの中の映像を現実的な視点で見る機会はあまりないですよね?
他にも、眠りの直前直後や、何かに集中しているときというのも軽度の催眠状態と言える、ということです。
何?どういうことだ!?
催眠状態では有益だと思う暗示を受け入れることができます
なんだかよくわからんぞ!まさか煙に巻こうなんて思ってないだろうな!?
いや、そんなつもりはないんだけどね。とにかく、催眠っていうのはあまり特別な状態じゃないんですよ
じゃあアレだ!催眠状態になると目が開かなくなるとか椅子から立てなくなるとか!そういうのは何なんだ!?
催眠状態っていうのは、本当か嘘か判断せずに暗示を受け入れる状態なんだけど、目が開かないとか、椅子から立てないといった現象はそういう暗示を受け入れているから起こるのですよ
全然わからん!
暗示と被暗示性
催眠状態は被暗示性が高い状態と表現されることがあります。
被暗示性が高いということはつまり、素直に暗示に従うことができるということです。
例えば、普通に起きている状態なら「目が開かない」という直接的な暗示に対して「いや、そんなことないけど」と批判が起こるかもしれません。
しかし、被暗示性が高まっていれば「目が開かない」という暗示をそのまま受け入れます。その結果、目が開かない(開けない)ということになるのです。
……演技ということか?
演技、というよりは従うということです。暗示を受け入れて、それが事実だとして従うのです
従う暗示と従わない暗示
いくら催眠状態で被暗示性が高まっていても、信念、信条に反することであれば暗示を受けても拒否できます。
つまり、「まぁいいか」と思えることや「そうだといいな」ということに対して「でも、だって」と言わず、「あー、そうなんだぁ」と言える状態が催眠状態なのだと思います。
……へぇ、そうなんだー
……
催眠状態とは心と体がリラックスした状態です
想像してたものとはかなり違うんだな。何と言うか、これはこれで面白くないというか
さっきも言ったけど、本当に人を操る技術があるならもっと秘匿なり管理なりされているのでは?
まぁ、そうなんだが、そうすると催眠には何を期待したらいいんだね?
リラックスや心地良さ、そして普段は意識していない内なる声との対話です
なるほど、ならば次はその内なる声とやらについて聞かせてもらおうじゃないか
催眠状態は基本的にリラックスした心地の良い状態です。
この状態では被暗示性が高まるとともに、普段気にしていない無意識からのメッセージを受け取りやすくなります。
ヒプノセラピストはこの状態を利用して、無意識、つまり潜在意識とコミュニケーションを取ります。
クライアントとなるあなたは、自分でも気づかなかった自分の声に気付くことができるでしょう。そして、自分でも想像してなかった思い込みに気付き、改善することもできるでしょう。